帰省する度に餃子を包んでる義父の背中のある台所
#tanka #短歌
義実家に帰省すると決まって餃子が出てくる。
餃子はお義父さんの得意料理かつわたしの好物なので、あちらのお家に行くことになると毎回作ってくれる。
夫の実家とわたしの実家は電車と徒歩で1時間程度の距離だ。
どちらに泊まっても移動に必要な時間には大差はない。
それでもわたしは自分の実家ではなく夫の実家に泊めてもらう。
わたしと実父との関係は「父親」という単語に嫌悪感を感じるくらいには悪かった。
なんなら「家族」という単語も気持ちが悪い。
そんなわたしにできたもう一人の「父親」と新しい「家族」。
帰省途中の駅で携帯が震えた。
「こいしさん餃子好きだよね?お父さんが餃子作って待ってるよ」
お義母さんからのメッセージを確認して頬が緩むのを感じつつ、電車を降りた。
わたしは新しい家族が好きだ。