河原町星屑通東潜ル

短歌とエッセイ。Twitter https://mobile.twitter.com/moeori

2023-01-01から1年間の記事一覧

3000冊を思い出しながら〜徒然推薦図書〜

1000〜2000冊の本を読んだという人のおすすめ本がわたしにはまったく刺さらなかったので、わたしが人に薦めるならどの本がいいかなあと考えてみました。 そうですね、一番多く再読している本であれば、太宰治『人間失格』ですし、最近再読して楽しかったのは…

雨と猫と町

雨よけをさがして走る猫の背に降るしずくすらあたたかな町 #短歌 #tanka この町は冬場は雨が少ない。太平洋側の気候の特徴として冬場は乾燥するというのは教科書の通りなのだけれど、それを意識したのはこの町に来てからだと思う。 そんな町でも時々は雨が降…

挽歌としての相聞歌

虚構のラブストーリー。 木下龍也と鈴木晴香の共著歌集、『荻窪メリーゴーランド』の帯の言葉だ。 虚構と現実ではやはり現実の方が重みがあるとは思う。けれど虚構でしか描けない風景も存在するし、望まぬ現実があるのと同じくらいに望んだけれど訪れなかっ…

夜行バス揺られてきみに会いにゆく窓の外には知らない夜景

夜行バス揺られてきみに会いにゆく窓の外には知らない夜景 #短歌 #tanka 夫と遠距離恋愛をしていた時期がある。 夫もわたしも関東の生まれで、同じ高校に通っていた。 病気で高校を辞めたり入院したり大学留年したり…というまわりくねった遠回り人生のわたし…

祖母たち。

夫の祖母が亡くなった。 おばあさんはわたしたちが入籍する少し前に脳梗塞を起こしてしまい具合が悪かったので、結婚の報告にも行けないままだった。 おばあさんとは高校生の頃に何度か会ったことがある。夫とは高校からの付き合いなので、学校帰りに夫の実…

ネクターの跡地

自販機のそこにいたはずネクターは覚えているのは僕だけだけど #短歌 #tanka * 職場の自販機からネクターが消えた。 ネクターが消える数日前のこと、先輩パートのお二人が自販機の前で話をしているところに通りかかった。 「あ、こいしちゃん。こいしちゃん…